兼子隆生 interview

カー用品店で店舗と本社、契約法人へのスーパーバイザー業務を経験したのち2016年にTOHOシネマズに中途入社。「TOHOシネマズくずはモール」「TOHOシネマズ梅田」と大阪の2館で経験を積み、7年目の2022年9月からは勤務地限定職として支配人を目指す。

お客様とスタッフがいる場所が仕事の現場

兼子は同じ接客の仕事でも、全く違う業界から転職したキャリアの持ち主。前職との共通点と相違点、映画館の仕事ならではのやりがいに加え、勤務地限定職としてのキャリアアップイメージについても語ってくれた。

現場にすぐ駆けつけることができるのが映画館の仕事の魅力

TOHOシネマズに来る前は、新卒で入社したカー用品チェーンで7年間働いていました。当初は、お客様にとって本当に必要な商品を、店頭で対話を通じて一緒に探していく仕事にやりがいを感じていたのですが、次第に役割が管理の仕事に変わって現場を離れることに。しかし、自分が最もやりたいのはやはりお客様と接する現場での仕事だと考え、管理の経験も活かしつつ現場で働けるマネージャーの募集を見つけて転職を決意したのです。

個人的には小さい頃から映画が好きで、映画館にも慣れ親しんでいましたが、働くという意味では全くの異業種。最初は不安ばかりでしたが、TOHOシネマズにはそんな自分を受け入れてくれる雰囲気がしっかりとあり、それが今につながるベースとなったと思っています。

入社して7年目になる現在は、TOHOシネマズ梅田で、コンセッション担当、ストア担当のマネージャーを統括しています。直接お客様に接するのは自分ではなくアルバイトスタッフですが、たとえば混雑時の動線をどうするかなど、現場を直接観察してよりよい方法を見出していくことは得意ですし、そういうところには今もやりがいを感じています。

とくにマネージャーを統括する仕事をしている今は、各担当マネージャーと劇場副支配人や支配人との橋渡し役など内側の仕事も多いですが、「一番表に出るマネージャー」だという自負は今も変わりません。現場に出ないと見えない課題に気がついたり、スタッフ一人ひとりの表情を見て声をかけるなど、現場でできることはたくさんありますし、そんな現場の近くにいつもいられることが、前職にはなかったよさだと思っています。

全員で同じ方向を向くことがお客様のGOOD MEMORIESを支える

カー用品店が「必要なものをできるだけリーズナブルに手に入れる」場だとすれば、映画館は「わざわざお金を使ってでも非日常を味わいたい人が来る」場所。そういう人のためには、「非日常を崩さない」ことがとても大切だと思っています。

エレベーターを降りた瞬間から、照明を落とした空間が広がり、ポップコーンの匂いがすることも非日常なのですが、映画館の空気感はそうした「ハコ」の部分だけで完成するものではありません。現場のスタッフやマネージャーが「作品以外の部分も含めて映画を楽しんでもらう」という気持ちをどれだけ持っているかが重要です。

またそれぞれが気持ちを持っていても、違う方向を向いていると力が分散してしまいます。梅田のスタッフ150人以上が本当の意味で力を発揮するには、全員が同じ目標に向かっている必要があるのです。そのために意識しているのは、スタッフの小さな仕事にも気づいて声をかけること。スタッフのモチベーションを上げるためには、単に褒めるだけでなく、たとえば清掃であれば「ここの汚れってすぐに取れた?」というように、内容にも触れるよう心がけています。

何か課題が見つかったときも皆で一緒に考えています。梅田は建物が古く、一般のマニュアル通りの対応ができないこともあります。そんなときどうするのがお客様にとってよいのか、マネージャーはもちろんスタッフも含めて話し合い、一人ひとりの中から出てくるものを引き出す。それができる余地があるのがTOHOシネマズのよいところであり、そうして全従業員が同じ思いで劇場をつくり上げることが、GOOD MEMORIESにつながっていくと思うのです。

勤務地限定職制度を活用し、地元で支配人になるのが夢

TOHOシネマズには以前から、3年以上の勤務経験を積んだ後に「転勤のない勤務地限定職」という職種にコース転換できる制度があります。最近その制度が改訂され、勤務地限定職でも支配人・副支配人を目指せることになったので、これを機に私もこのコースを選択しました。若い頃はあちこち転勤をするのもよいなと思っていたのですが、30代半ばになり、家族の都合などもあって、1カ所に落ち着きたいと思うようになったのが理由です。と言っても、この先またライフスタイルが変わったときには転勤のある総合職に戻ることも可能。だからこそ、迷わずに制度を利用することができました。

自分の人生においても映画館は身近な存在だっただけに、地元で支配人になれたらカッコいいな、という思いもあります。威厳のある支配人もよいのですが、私が目指すなら、やはりいい意味で「らしくない」支配人ですね!スタッフやマネージャーを含めた中でも、「一番動く」支配人として、既存の支配人のイメージを変えるような仕事ができればと思います。

そのうえで、スタッフにも楽しんで働いてもらえるような劇場をつくりたい。学生アルバイトさんが卒業するとき、「ここで働いてよかった」と言ってくれるような仕事の経験は、社会人に向けてのよい準備であり、それもまたGOOD MEMORIESだと思うからです。

人との関わりを大切にしながら映画を提供する

新山沙樹

「愛される劇場」をつくる人になる

木村百花